ネット上ではクレジットカード現金化が「罪に問われる」との記載も多く、特に行政系や法律系、クレジットカード会社系のWebサイト上ではそのような「罪に問われる」といった記載があります。
最初にはっきりさせておきますが、クレジットカード現金化を行った者が罪に問われた例はありません。
この記事ではクレジットカード現金化と罪の関係について解説していきます。
クレジットカード現金化で本当に「罪」が成立する?
クレジットカード現金化で罪が成立するかどうかについて検証していきましょう。注目するのはWebサイト上のクレジットカード現金化への警告上で「成立する」といわれている以下の3つの罪です。
- 横領罪
- 詐欺罪
- 出資法違反
それぞれの罪が本当に成立するのか検証していきましょう。
クレジットカード現金化の仕組みを押さえておくとさらに内容の理解が進むよ!
「横領罪」
「横領罪が成立する」という言い分は「クレジットカードで購入した商品は代金の支払いが済むまでカード会社のもの(所有権留保)なので、勝手に売ったら横領罪」というものです。
意外と知る人は少ないですが、クレジットカードで購入した商品は決済代金の支払い(翌月など)が済むまでは、カード会社に所有権があります。
これを「所有権留保」と呼ぶ。所有権が相手方(カード会社)に留まるということだな。
そのため、カード会社に所有権がある商品を勝手に売って換金し私物化する「横領罪」という罪に当たる、と述べているサイトも少なくありません。
第二百五十二条 自己の占有する他人の物を横領した者は、五年以下の懲役に処する。
引用元:刑法 e-Gov
しかしながら、所有権留保の制度は本来、カード会員が支払い不能になった際に、カード決済で購入した商品を担保としてカード会社に引き渡すことで債務を減らす、という救済措置のために設けられたものです。
また、商品がカード会社に所有権があることを強調しすぎると、カード決済商品をプレゼントしても横領罪が成立しますし、消耗させたり、破損させたりすれば窃盗罪や器物損害罪が成立します。
そのため、クレジットカード現金化で所有権留保を引き合いに出し「横領罪」の成立を論じることは、クレジットカードの利用の幅を狭めていることに等しいです。
実際に横領罪で検挙された例がないことからも分かるように、カード会社の利益も考えてより慎重に審議すべき内容と判断されているためでしょう。
結論として、横領罪が成立することは考えにくいと言えます。
「詐欺罪」
カード会社は利用規約上でクレジットカード現金化を禁止しているので、「カード会社をあざむいて正常の取引を偽り、クレジットカード現金化すると詐欺罪が成立する」という考え方も存在しています。
第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
引用元:刑法 e-Gov
詐欺罪の成否は以下の記事で解説しますが、こちらも成立はしないと考えます。検挙例もありません。
「出資法違反(逮捕例あり)」
クレジットカード現金化の方法の中には「クレジットカード現金化業者」を利用する方法もありますよね。
こちらの業者はクレジットカード現金化を専門のサービスとして取り扱っており、利用者に指定した商品を購入させ、即時買取・換金するか、または現金でキャッシュバックすることでショッピング利用枠を換金します。
この現金化業者の「現金の支払い」と「商品販売時の利用者への債務の提示」が出資法上の「金銭の貸し付け」とみなされ、出資法の規制の対象となって「脱法行為」や「高金利」の罪に問われるとされます。
なお、出資法の規制の対象者は業者であることをお忘れなく。
出資法の脱法行為とは、架空の取引で金銭の貸し付けを行うこと。
クレジットカード現金化は商品の購入と売買という取引ですが、あくまでも形式的な手段に過ぎず、目的はクレジットカードのショッピング利用枠の換金です。
通常の取引を装ってクレジットカード現金化を行えば「脱法行為(5年以下の懲役・1,000万円以下の罰金※併科あり)」に該当します。
また、高金利の罪とは、出資法の高金利の罪として年利20%以上の高金利で現金を貸し付けること。
クレジットカード現金化業者を利用する際には手数料を差し引き、手元にいくら現金が戻ってくるのかという割合「換金率(還元率)」があります。
換金率が80%の場合、残りの20%は業者の儲けとなりますが、これを年利(対価)と見立てると年利20%と考えることも可能です。業者が20%以上儲ければ出資法上の高金利罪とみなすことが可能です。
実際に現金化業者が出資法違反で逮捕された例がこちらです。
クレジットカードのショッピング枠を現金化する方法で事実上のヤミ金融を営んだとして、警視庁生活経済課は5日、東京都台東区の貴金属販売会社「インフィニティ」の元代表(略)を出資法違反(高金利、脱法行為)の疑いで逮捕した。カードの現金化業者を同法違反で逮捕するのは全国初。
逮捕された理由は「業者に購入させられた商品の中身を知らなかった」などと形式的な手段と判断されたためであり、脱法行為とみなされた上に、高金利の罪に問われています。
同例の逮捕例が2011年~2014年頃に数例あります。他の逮捕例は以下の記事で紹介していきます。
クレジットカード現金化で「罪」を問われたのは利用者ではない
クレジットカード現金化で罪を問われていたのはクレジットカード現金化を「利用する」側ではなく、クレジットカード現金化をサービスとして「提供する」側です。
クレジットカード現金化をしても現状では罪に問われないということは覚えておこう!
さらに、2021年現在では直近でクレジットカード現金化業者が逮捕された例はありません。
直近では検挙された例がないのは、クレジットカード現金化により、価値のある商品が実際に手元に届くようになって「脱法行為」「高金利」の貸付行為(出資法違反)とみなされにくくなったためとされています。
ゆえに、クレジットカード現金化をする側も業者側も逮捕者が出ていないのが現状です。
罪ではないが業者を使うなら業者をしっかり選ぶ
クレジットカード現金化は罪ではありませんが、いくつかの問題点があります。中でも悪質な一部のクレジットカード現金化業者によるものが多いです。
だったら自分でカード決済購入した商品を換金すれば良いのではと思うだろう。
クレジットカード現金化は自力でもできますが、業者を使えば即日でクレジットカード現金化できる上に、面倒な購入や買取の手続きが1社で完結します。
また、決済代行業者と提携していることも多く、履歴上は代行業者との取引となるため、クレジットカード現金化がカード会社に伝わりにくく、クレジットカード現金化を疑われるリスクが減ります。
クレジットカード現金化業者は便利だが、悪質な者も存在しているので、必ず優良業者を選ぶこと!
まとめ:罪に問われないための注意点と問われた時の対処法
クレジットカード現金化は以下のような罪に問われると問題視されていました。
- 横領罪:所有権留保を引き合いに出すとカード会社にとって不利なので慎重になっている
- 詐欺罪:組織的で悪質なものでない限りは、詐欺とみなされにくい
- 出資法違反:業者側が架空な取引で艇換金率での取引を行った合に成立し、実際に逮捕例もあるが、直近では逮捕例なし
横領罪、詐欺罪、出資法違反共に現在では成立することは少なく、行政・法律系、カード会社系のWebサイトではあくまでも「警鐘」の目的で文言を記載しているケースが多いです。
これは実際にクレジットカード現金化をしても逮捕された例がないという事実が物語っているな。安心しよう!
上記の罪に問われないためにもカード会社には延滞をせずにしっかりと返済を行いましょう。
カード会社に対して延滞を繰り返す上にクレジットカード現金化をすると「悪質な会員」とみなされ、刑事告訴される可能性もあるためです。
クレジットカード現金化は簡単で便利だが、返せる金額だけクレジットカード現金化して必ずカード会社に返済しよう。
もし上記の罪に問われた場合は、弁護士に相談すれば起訴を免れることもできます。
弁護士に相談・依頼するタイミングは「なるべく早く」がベストで、弁護士のアドバイスを受けながら手続きを進めることで状況を打開できる可能性が高くなります。